【対馬】豊砲台跡と韓国展望所を巡る旅|まさかのコウモリ遭遇と白いたい焼き

【対馬】豊砲台跡と韓国展望所を巡る旅|まさかのコウモリ遭遇と白いたい焼き

対馬の北の果て、上対馬エリアには「行ってよかった」と思わずいぶやいてしまう絶景と、ちょっとした冒険が待っていました。今回は、廃墟好きにはたまらない戦争遺跡「豊砲台跡(とよほうだいあと)」と、韓国の街並みを望める「韓国展望所」を訪れたときの体験を、実際にあった出来事そのままにレポートします。地図アプリに振り回されたり、野生のコウモリに遭遇したり、ちょっとドキドキする旅になりました。

豊砲台跡への道のり

韓国展望所と豊砲台跡へ向かうため、カーナビ代わにGoogleマップを頼りに車を走らせました。ところが表示されたのは最短ルートの旧道。実際に進んでみると、かなり狭い道で対向車が来たらどうでようとヒヤヒヤしながらの運転になりました。

豊砲台跡は、2024年7月に発生した崖崩れの影響で長らく通行止めが続いていた場所です。訪れる前に「まだ通れないかもしれない」という情報も目にしていたので内心不安でしたが、実際に着いてみると通行できる状態になっていて一安心。ちなみに正式には2026年7月23日に通行止めが解除されたばかりで、私たちはその後というタイミングで訪問できたことになります。長らく気になっていた場所だったので、なんとも言えない達成感がありました。

豊砲台跡と韓国展望所への分岐案内標識

豊砲台跡、内部レポート

駐車場に車を停めて歩いていくと、防空壕のようなトンネル状の入り口が姿を現しました。中をのぞきこむと、光がまったく届かない真っ暗な闇。さすがに手ぶらで入るのは厳しそうだと思っていたら、入り口付近に案内板を発見しました。

豊砲台跡の入り口、トンネルのような外観と案内板

案内には「ボタンを押すと30分間だけ照明が点灯します」との記載が。さっそくボタンを押してみると、内部にぽつぽつと明かりが灯りました。とはいえ真昼のような明るさにはならず、全体的にやや薄暗い雰囲気は残ったままです。この照明は来館者が押すたびに30分間だけ点灯する仕組みになっていて、見学者が安全に砲座・砲具庫・巻揚機室などの内部構造を観察できるようにという配慮なのだそうです。うっかり長居しすぎると真っ暗になってしまうので、時間配分には注意が必要です。

照明ボタンを押した後、明かりが灯った内部の通路

内部は旧日本軍の要塞基地の跡地といった雰囲気で、砲具庫や保管室といった聞き慣れない名前の部屋がいくつも連なっていました。ひんやりとした空気とコンクリートの質感が相まって、まるでバイオハザードのワンシーンに迷い込んだような感覚になります。

砲具庫と書かれた内部の部屋の様子

そんな雰囲気に浸りながら奥へ進んでいくと、まさかの野生のコウモリと遭遇しました。天井付近を見上げると、なんと15匹ほどが群れになってぶら下がっています。中には飛び回っている個体もいて、慌てて写真を撮ったせいでピントの合わないブレブレの一枚になってしまいました。入り口の雰囲気からしても自然の洞窟に近い環境だったので、「本当にこうぁざ場所に生き物が暮らしているんだ」と妙に納得してしまいました。幸いコウモリは一角に集まっていたので、それ以外のエリアはゆっくりと見学することができました。

天井付近に群れている野生のコウモリ(ピントが合わずブレた一枚)

そして今回の一番の目的地、砲台跡本体へ。現存するのは大きな縦穴のみですが、その規模から、かつてここに据えられていた砲がいかに巨大だったかがうかがえます。現地の案内板によると、この豊砲台には戦艦長門の主砲と同型とされる40cm加農砲(砲身18.50メートル、重量103トン)が2門据えられており、昭和4年(1929年)5月に着工、昭和9年(1934年)3月に完成したとのこと。結局一度も実戦で使われることのないまま終わったことから、案内板には「まぼろしの砲台」と記されていました。廃墟のような場所を訪れたのはこれが初めてだったので、思わずテンションが上がってしまいました。入場無料でこれだけの迫力を体感できるのは、なかなか貴重な経験だと思います。

巨大な縦穴になっている砲座跡を見上げた様子

出口を出ると、外周をぐるりと囲むように階段が続いていました。上まで登り切ると、先ほど見学した砲座跡の縦穴を今度は真上から見下ろすことができます。息が切れるほどの階段だったので、それだけでも施設全体の高さを実感できました。周辺にはベンチも設置されていて、ひと息つくのにちょうどいい休憩スポットになっています。ここには韓国展望所への案内板もあり、遊歩道を歩いて行けそうな雰囲気でしたが、距離を考えるとそれなりの時間がかかりそうだったため、私たちは車で移動することにしました。

外周の階段から見下ろした砲座跡の様子

韓国展望所への移動

車に戻り、次の目的地である韓国展望所へ向かいました。ちなみに徒歩の場合、豊砲台跡と韓国展望所の間は遊歩道で結ばれていて、距離は約1.0km、所要時間は徒歩でおよそ15分ほどとされています。時間や体力に余裕があれば、歩いて両方の景色を楽しむのもおすすめです。

韓国展望所に到着すると、まず目に入るのが立派な門。韓国の伝統的な建築様式を取り入れたデザインになっていて、この門をくぐって駐車場へと進みます。駐車場に車を停めたら、そこから展望台までは坂道を歩いて登っていく形です。訪れたのが夏の暑い日だったこともあり、この上り坂はなかなか堪えました。

韓国展望所の入り口に建つ門

韓国展望所レポート

坂道を登っていると、屋台のようなものが見えてきました。この暑さだから、かき氷かアイスクリームだろうと期待して近づいてみると、売られていたのはまさかの「白いたい焼き」。見た目が真っ白なたい焼きというのは初めて見たので、思わず買って食べてみることに。かじってみると生地がもちもちとしていて、一般的な小麦粉のたい焼きとはまったく違う食感に驚かされました。上対馬ならではの珍しいご当地グルメに出会えて、暑さを忘れるちょっとした楽しみになりました。

韓国展望所の売店で見つけた白いたい焼き

展望台へ続くスロープを登っていくと、視界が一気に開けて青い海が一望できました。展望スペースには望遠鏡も設置されていて、覗き込めば運がよければ対馬海峡の向こうに韓国・釜山の街並みが見えることもあるそうです。直線距離にしておよそ49.5kmと、国境の島ならではのスケール感です。残念ながら私たちが訪れた日は天候にそこまで問題はなかったものの、釜山の景色を見ることはできませんでした。またリベンジしたいポイントです。

韓国展望所付近から見渡す海の景色

展望室の中はおしゃれな造りになっていて、無料で開放されています。休憩スペースとしても活用できるので、坂道を登って火照った体を少し休めるのにちょうどよい空間でした。少し離れた場所には記念碑のようなモニュメントも建てられていたので、記念に写真を一枚残しておきました。

ちなみに韓国展望所は2024年4月にリニューアルオープンしており、以前は階段だった通路がスロープに変わってバリアフリー化されています。おかげで、小さなお子さん連れやベビーカー、車椅子の方でも比較的スムーズに展望台まで上がることができるようなっていました。

まとめ・アクセス情報

豊砲台跡では戦争遺跡ならではの緊張感とまさかのコウモリとの遭遇、韓国展望所では絶景と珍しいご当地グルメと、上対馬エリアだけでもかなり濃密な旅の一日になりました。帰り道には豊砲台跡へ続くもう一つのルートも発見でき、次回はぜひ涼しい時期に、遊歩道を歩いて両方のスポットを巡ってみたいと思っています。

豊砲台跡

  • 住所:長崎県対馬市上対馬町豊(郵便番号817-1723)
  • 営業時間:見学時間の制限は特になし(内部照明はボタン式で30分間点灯)
  • 入場料:無料
  • 駐車場:あり(数台分、無料)
  • アクセス:対馬空港から車で約2時間12分。韓国展望所からは遊歩道で約1.0km・徒歩約15分
  • 備考:2024年7月26日から取付道路の崖崩れにより通行止めとなっていましたが、2026年7月23日に通行再開しています。訪問前に最新の道路状況を確認することをおすすめします。

韓国展望所

  • 住所:長崎県対馬市上対馬町鰐浦(郵便番号817-1723)
  • 営業時間:日没まで(施設により18:00頃までとする情報もあり)
  • 入場料:無料
  • 駐車場:あり(20台程度)
  • アクセス:対馬空港から車で約1時間30分
  • 備考:2024年4月にリニューアルオープンし、階段からスロープへとバリアフリー化されています。

どちらも入場無料でありながら見応えたっぷりの上対馬の名スポット。対馬旅行の際は、ぜひセットで訪れてみてください。